Research
物性物理学的手法でエネルギー科学の発展に貢献
当研究室では、物性物理学的手法によるエネルギー変換材料の最適化および社会実装を目指した応用研究を行っています。
エネルギーハーベスト
太陽光や熱など、環境中の微小なエネルギーを刈り取り電気エネルギーに変換する、エネルギーハーベスト技術に注目しています。この技術は、IoT社会・ゼロエミッション社会、そしてSDGsを達成するために欠かせない基盤技術のひとつです。
エネルギー変換材料
液体熱電変換LTE(Liquid Thermoelectric conversion device)
電解液に溶解したイオン(酸化還元対)の平衡電位を応用した熱電変換デバイスです。低コストかつ大量生産が可能であることから、IoT社会の自律型独立分散電源としての応用が期待されます。
分析手法
高エネルギー加速器研究機構(KEK)やSPring-8など、放射光施設を利用した実験や、分光測定、電気化学測定などを駆使し、エネルギー変換材料の構造解析や反応プロセスの解明を行います。
X線吸収分光(XAFS)測定
XAFS測定はX線のエネルギーを掃引し、吸収係数を測定する手法です。吸収係数は原子番号に強く依存するため、元素選択的なアプローチができます。また、固体に限らず液体や薄膜など、幅広い材料系に適用が可能です。測定には、高輝度な連続波長光源が必要であるため、大型放射光施設KEK, Photon FactoryやSPring-8で実験を行います。
X線全散乱、PDF(Pair distribution function)解析
キャピラリに封入した試料に高エネルギーX線を照射し、回折データを取得します。吸収、偏光等の補正、コンプトン散乱成分を差し引き、原子散乱因子で規格化することで構造因子を取得します。構造因子をフーリエ変換することで、二体分布関数が得られます。XAFS測定と比較して、中距離構造の情報まで見ることができますが、元素選択的でなく、すべての散乱データを含んでいる点に注意する必要があります。
※随時更新
紫外可視吸収分光測定
紫外可視吸収分光測定は電子遷移に対応したスペクトルを得ることができます(d-d遷移、LMCTなど)。
電気化学測定(CV測定、EIS測定)
電位を制御することで電極での酸化還元反応、および律速反応を調べることができます。
量子化学計算
構造最適化によって、系の電子状態や熱力学・電気化学パラメータ等様々な情報を得ることができます。
※随時更新